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2005年2月 9日 (水)

仕事はプライド

お子様が二人以上いると資金的に進学させることが無理になってきます。ご両親は進学ローンなるものを組んでまでお子様に進学させようとしますが、子供はそうしたことには敏感に反応します。お子様から相談されることも多くあります。「おまえさん、看護士・看護婦になる気はないかい。」「おまえ、防衛大学に進学してみないかい。」どちらもお金がほとんど要りません。手に職をつけておけば幾つになっても職に苦労しないですみます。

こうして現役高校3年生の進学相談会では医療系に進学希望の生徒が50人以上も集まってきます。「自分の学費と生活費は自分で稼げ!」お父さんが癌で何度も手術を受けて自宅を手放した生徒もいます。受験料すら支払えない生徒もいます。母子家庭のお子様もいます。多くのお子様の家庭環境はよろしくありません。「今日からおまえたちの親は俺だと思え!出世払いでおまえたちの命をあずかった!」そうしてそれぞれの進学希望校の勉強が始まります。

「因数分解は割り算だ!」「公式を鵜呑みに覚えるな!」「遺伝は面積図を作れ!」いつもと同じように僕は質問しかしません。「君たちは将来患者と接することになるが医者を信用してはならない。診断が正しいかどうか君たち自身で判断できるようになれ!」常識を疑ってかかるように公式を自分で導いて納得し、いつでも公式を導ける生徒にしていきます。「死に行く人を最後まで看取るのは家族じゃない、おまえたちだ!おまえたちの瞳を見ながら死んでゆく患者にあとは任せておけと瞳で訴えろ!」

ご両親には無理して生活費を切り詰めないでお金のかからない道があることをお教えします。子供は親が思っている以上に心優しいものです。お子様の愛情をお教えすれば泣き出すご両親の方もいらっしゃいますがどのお子様も親思いです。こうして3年後職に就き病院で働くようになり、「先生、命はどれもこれも大切なもので、死に行く命にも使命があり、生まれてくる命にも使命があると思うようになりました。」な~んて殊勝なことを言うようになるのです。

仕事はプライドが大切です。死に行く人をさっさと死んでくれと看病するのか、この人の最後はわたしが見取ってやると決意して看護に当たるのかで仕事に対するプライドがまったく違ってきます。寝たきりの患者の床ずれはひどいものですが、それを心からいたわり命の尊厳を大切にすることが私の仕事だと思えれば汚いと思える仕事こそ崇高な仕事だと感じます。その考えの種を予備校で植えておけばその子は多くの患者や医師から信頼される存在となります。

2005 02 09 [学問・資格] | 固定リンク